読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

勢いだけで突っ走る

いやもうホント垂れ流しです。

【備忘録】【レビュー】このページをめくれば、あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。

 

私の消滅

私の消滅

 

 毎月新品古本含めそれなりに購入しますんで、大体仕事終わりに徒歩数分のジュンク堂で4Fの漫画コーナーから降りながら、カゴの中身が増えて行くんですが、その時に大体の予算を決めていて、それが今回は8000円〜1万円だったわけです。

正直、漫画は最近Kindleでの電子書籍購入が主になっていて、(それでも今回ヴィンランドサガの新刊は唯一紙で集め続けていますんで購入。。。)小説に関してもブックオフなどの古本か、セール時のこれまたKindleでの購入。(ブックオフの積み本がまたうず高くなっております。。。)

今回も主な購入目的はKADOKAWAから出版された「パナマ文書」と、青山繁晴氏の「平成紀」、荻上チキのsession22で特集された海部陽介氏の「日本人はどこから来たのか?」と、宇野重規氏の「保守主義とは何か」。

上記5冊を購入しても、予算には大きく余裕がありましたし、正直小説はハードカバーより持ち歩き目的からしても、懐事情からしても文庫の方が好き。

とはいえ、この小説の表紙と、帯に記載されているこの記事のタイトルにもした一文。

このページをめくれば、あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない

そして、帯の裏に続く、

「これを読んでいる人間がいる・・・それはとてもありがたいことだ。でも、もう遅いかもしれないが、きみは・・・、きみは逃げたほうがいい。

 

完全に装丁と、奇妙な、それでいて何かが起こっているのか確認したくなるような、

誘ってくるような文章に、1Fの新刊・話題書コーナーで引き込まれてしまっていた。

以前「教団X」が読書芸人で注目を集めていた頃から気になる作家ではあったが、先程も書いた通りハードカバーではどうしても食指が動かなかった。いずれは読む気ではあったが。だが、今回は装丁がそこを後押ししてくれた。

 

まずは何処ともしれないコテージの中で、男がある手記を読んでいる所から始まる。

その手記にはある男の生い立ちから今に至るまでの心境が綴られている。

「誰」が、その手記を書き、「誰」が、その手記を読んでいるのか、現時点で、それは分からない。

手記が終わり、物語は転換し、手記だけではなく、別の視点の記録物から、先程までの主観での見方が実は悪意に満ちた方法で、誰かが誰かを陥れようとしている事が次第に判明していく。

途中まで読んでいて、私はドグラ・マグラを一番に思い出した。あれも記憶と人格が一致しないままで、自分自身のアイデンティティが曖昧なまま、目の前の男に回答を執拗に求められる作品だった。

だが、今回の「私の消滅」も十分に楽しめる作品だったが、どうしても悪意が足りない様に感じられた。最後の最後のページを捲るまで、私はこの結末も誰かがデザインしたストーリーなのではないかと疑ってかかっていたから、若干肩透かしだった事は否めない。

宮﨑勤や前上博、そして明記されていないが恐らく秋葉原刺殺事件の加藤の過去や、

作者自身で独自に行ったという精神分析は興味深かった。

作者は恐らくクソッタレな人生でも救いがあると言いたかったのかと思う。

ただ、私がこの装丁と帯を見て高まった期待は、どうしようもない悪意の掌の上であがき続けるようなお話だったから、これは多分私が悪い。

総括すると十分に面白かった。今年の中なら上位。午前2時まで読み耽り、4時間後に続きを読み始めてラストまで読む位には。

でも、次はドロドロの悪意に満ちた、後味の悪い作品を読んでみたい。

※調べてみると、結構な冊数が出版されているので、次は「教団X」とか、興味の出る作品から読んでみようかと思うけど、後書きでデビュー作から今作まで一本の線となっているという作者のメッセージを聞くとデビュー作から。。。

いや、むしろここは逆に最新作からデビュー作までポロロッカ現象を。。。

 

私の消滅

私の消滅